縄文人と私達 〜 注19'

公開: 2024年1月25日

更新: 2024年1月25日

注19'. こう着語

近代ヨーロッパで発達した言語学では、世界の言語を大きく、孤立語の系統、こう着語の系統、そして屈折語の系統に分類します。孤立語は、一つ一つの単語の意味の組み合わせだけで文を構成する言語です。中国語がその代表例です。こう着語は、言葉の意味を示す基本的な言葉と、その基本後の語尾につけられる接尾語を変化させて、文を構成する言語です。フィンランド語、ハンガリー語、蒙古語、朝鮮語や、日本語が代表例です。屈折語は、言葉の役割が文の位置によって変化し、動詞の位置に置かれる語などでは、主語の語や、動詞が過去を意味するかどうかによって変化します。ギリシャ語やラテン語などが代表例です。

ヨーロッパで使われている言語の多くが、ギリシャ語やラテン語から派生した言葉であったことから、ヨーロッパの言語学では、屈折語の研究が進みました。例えば、現代では、「インド・ヨーロッパ語族」と呼ばれるような、インドの古語であるサンスクリッド語なども、屈折語であることが分かっています。

これとは違って、地球上に広く分散して使われているこう着語の研究は、進みませんでした。かつては、「ウラル・アルタイ語族」と呼ばれていたこう着語は、近年、フィン語やハンガリー語と、朝鮮語の違いが注目され、フィン語・ハンガリー語と、他のこう着語との文法構造に基本的な違いが指摘されるようになりました。

このような言語学の進歩から、現代の言語学では、アイヌ語やアメリカ・インディアンの人非是との言葉などが含まれる抱合語が見出されました。この抱合語は、こう着語に似た特徴もあり、こう着語が抱合語から派生したとする考えもあります。

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